林檎農家の娘が考える“初恋”

青空文庫を散歩していてふと教科書を読む先生の姿を思い出しました。どのように説明してくれたか忘れてしまいましたが、なんだか現実的ではないと思ったものです。林檎の下がそんなロマンチックな場所になるとは農家の娘には想像できませんでした。

初恋 <島崎藤村>

まだあげ初(そ)めし前髪(まへがみ)の
林檎(りんご)のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛(はなぐし)の
花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅(うすくれなゐ)の秋の実(み)に
人こひ初(そ)めしはじめなり

わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃(さかづき)を
君が情(なさけ)に酌(く)みしかな

林檎畑の樹(こ)の下に

おのづからなる細道(ほそみち)は
誰(た)が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ

この前まで髪形なんで気にしてなかったのに

きょういつもの待ち合せ場所の林檎の木の下にいる君をみたらビックリしたよ。

なんだかかわいく見える。そうか、美容室を変えたんだね。

髪につけている花のコサージュも似合っているよ。

もう林檎畑で遊ぶのは終わりかもしれないね。

真っ赤に実った林檎を白い手で私に差し出した時に、ドキッとしたよ。

いろいろ思いが駆け巡って、ため息をついちゃったら君の前髪にかかっちゃった。

それを照れて君は僕に聞いたね。この林檎畑にできた小さな道は誰が作ったのだろうって。

今日は現実的な答えを言ってはいけない気がしたよ。

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